1. はじめに:施策はあるのに、どこが上手くいっているか分からない
SNS広告も出している、インフルエンサーにも依頼している、リスティング広告も動かしている。でも、最終的な売上にどの施策が貢献しているのか分からない——。
このような状態は、施策の「つながり」が設計されていないことが原因です。個々の施策がバラバラに動いているため、どのKPIを見ればよいかも曖昧になっています。
この記事では、「認知から購買まで」をWEBプロモーションで設計するときの、ファネルの考え方・KPIの置き方・導線の設計方法を整理します。
2. ファネル5段階×施策×KPI の全体像

認知
主な施策:SNS広告(認知型)/ ディスプレイ広告 / テレビCM / インフルエンサー投稿 / PR
KPI:インプレッション数 / リーチ数 / 指名検索数の変化
興味・関心
主な施策:SNS広告(エンゲージメント型)/ オーガニック投稿 / ショートドラマ / コラム
KPI:エンゲージメント率 / フォロワー増加 / 動画視聴完了率
比較・検討
主な施策:リスティング広告(比較・指名キーワード)/ リターゲティング / LP最適化 / 口コミ・事例
KPI:クリック数(CTR)/ LP滞在時間 / 問い合わせ数
購買・CV
主な施策:リターゲティング(カート放棄・離脱)/ メール・LINE / 限定オファー
KPI:CV数・CVR / CPA / ROAS / 売上
ファン化・リピート
主な施策:SNS継続運用 / メルマガ・LINE / UGC促進(レビュー・投稿シェア)
KPI:リピート率・LTV / UGC件数 / NPS
設計の順序:ゴール → ファネル → KPI → 施策 → 導線をつなぐ
3. まず「ファネル」の概念を整理する
マーケティングでよく使われる「ファネル(漏斗)」とは、ユーザーが商品を知ってから購買に至るまでのプロセスを段階的に示したモデルです。
認知 → 興味・関心 → 比較・検討 → 購買・CV → ファン化・リピート
このファネルの各段階に、それぞれ適した施策とKPIがあります。施策だけを決めて動かすのではなく、「この施策はファネルのどの段階を担うのか」を整理することが設計の出発点です。
4. 段階別:施策とKPIの考え方
① 認知段階
この段階での「クリック率」や「CV数」を主KPIにするのは適切ではありません。認知段階のゴールは「届いたかどうか」です。インプレッション数・リーチ数・指名検索数の変化を見ます。
② 興味・関心段階
知ってもらったユーザーに「もっと知りたい」と思わせる段階です。エンゲージメント率・フォロワー増加数・動画視聴完了率などで評価します。
③ 比較・検討段階
他の選択肢と比べているユーザーへのアプローチです。サイトへのクリック数(CTR)・LP滞在時間・問い合わせ数が主なKPIになります。
④ 購買・CV段階
コンバージョン数・CVR・CPA・ROASで評価します。リターゲティング広告やメール・LINEのリマインドが有効な場面です。
⑤ ファン化・リピート段階
一度購入したユーザーをリピーターに育てる段階です。リピート購入率・LTV(顧客生涯価値)・UGC件数で評価します。
5. 導線設計:施策をつなぐという発想
各施策を個別に動かすのではなく、ファネルの流れに沿って「前の施策が次の施策の土台になる」ように設計することを「導線設計」と呼びます。
新商品EC立ち上げの導線設計例
1. Instagram広告(リーチ型)でターゲット層に商品を知らせる
2. TikTok広告でショートドラマ形式の動画を配信し、話題の入口をつくる
3. 広告を見てアカウントをフォローしたユーザーに、オーガニック投稿で継続的に届ける
4. ECサイト・LPにアクセスしたユーザーに、リターゲティング広告で再訴求する
5. 期間限定キャンペーン広告でラストプッシュをかける
6. 購入後のSNS投稿をUGCとして収集・活用する
この流れが設計されていると、「どの施策がどのファネル段階に効いているか」が明確になり、成果の出ていない段階に集中して改善を加えることができます。
6. よくある失敗:KPIの置き方がずれている
失敗① 認知施策にCVを求める
認知段階のSNS広告にCV数やROASを求めると、「成果がない」と判断して早期に止めてしまうケースがあります。認知段階のKPIはリーチ数・インプレッション数であり、CVはその後の段階で評価すべき指標です。
失敗② フォロワー数だけで運用の成否を判断する
フォロワー数が増えても、エンゲージメントが低かったり購買につながっていなかったりする場合は、ファネルの途中で詰まっている可能性があります。フォロワー数はあくまで認知・興味段階の指標の一つです。
失敗③ ラストクリック計測だけで施策を評価する
最終購買前の最後の接点だけを「成果を出した施策」とみなすラストクリック計測では、上流の認知・興味施策が正しく評価されません。認知段階のSNS広告が見直されてしまい、中長期で認知が下がるという悪循環に陥ることがあります。
テレビ・リアルイベントとの連動も視野に
WEBプロモーションだけで全てのファネルをカバーしようとする必要はありません。テレビCMやテレビ通販番組・リアルイベントを認知段階に使い、WEB施策でその後の興味・検討・購買の流れをカバーする設計も有効です。
特に認知拡大においては、テレビやイベントが一度に届けられるリーチ規模はWEB単体と比較にならないケースもあります。オンラインとオフラインを連動させることで、WEB施策の効率が大きく高まります。
7. まとめ:設計の順序は「ゴール → ファネル → KPI → 施策」
1. ゴールを決める(認知拡大か、CV獲得か、LTV向上か)
2. ファネルを描く(認知→興味→検討→購買→ファン化)
3. 各段階のKPIを設定する(段階ごとに異なる指標で評価する)
4. 施策を割り当てる(各段階に適した施策を配置する)
5. 導線をつなぐ(前後の施策が連動するよう設計する)
この順序を逆にして「とりあえず施策から始める」と、後からKPIの整合性が取れなくなり、成果の評価も改善の方向性も見えにくくなります。
マスデジタルでは、戦略設計の段階からKPI設定・導線設計・施策選定を一体でご支援しています。「施策はやっているけど整理できていない」という状態からでも、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事はマスデジタルが提供するコラムです。WEBプロモーションの戦略設計・KPI設計・運用支援についてのご相談はお問い合わせフォームよりどうぞ。

Written by
田浦 典幸
大学卒業後、GMOインターネット、フルスピードにて営業および新規事業の立ち上げに従事。デジタル領域を軸に事業推進の経験を積む。その後、株式会社J・Gripにて取締役社長に就任。事業拡大、組織運営、デジタルマーケティング領域の強化を手がける。
2020年1月、合同会社2SCを創業。
BtoBマーケティング、インサイドセールス、採用広報、インナーブランディングなど、企業成長に必要な領域を横断したコンサルティングを提供しながら、マーケティング・リサーチ事業会社のマーケティング部門を担当。
2023年には、パートナー2名と共にインフルエンサー事業会社を創業し、SNS・KOL領域の事業を拡大。2024年には株式会社マスデジタルを創業し、マーケティング戦略とクリエイティブ制作を一体で支援する体制を構築。
現在は、デジタルを軸とした総合的なマーケティング・営業戦略の設計から実行までを担い、企業の成長に最適なソリューションを提供し続けている。
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